滋賀県の地形・地盤

滋賀県の地図 滋賀県の地形図

地形

滋賀県は、地質構造的には全域が西南日本内帯に属し、「六甲変動」とも呼ばれる活発な地殻変動を経た地域に位置する。地形的には、琵琶湖を擁する近江盆地と周囲を囲む山地より成り立つ。

近江盆地中央部に横たわる琵琶湖は、地殻変動によって生じた大きな盆地構造中央部に周辺山系からもたらされた水が帯水した、南北68km、東西最大22.6km、最深部およそ103m、面積約675km2を誇る日本最大の湖であり、県土の6分の1を占めている。県内の河川はほぼ琵琶湖に流入しており、排水河川は湖の南端に位置する瀬田川のみで大阪湾に注いでいる。

湖岸周囲には沖積低地が発達し、特に流入河川の多い東岸では広大な低平地が形成されている。

湖岸低地から山地に至る地域には、標高100-300m程の定高性丘陵が分布するが、湖西地域では山体が湖岸に迫っているため、丘陵の分布は湖東及び湖南に集中している。これらの定高性丘陵は古琵琶湖の水位が下がって陸化した旧湖底部分に由来する古琵琶湖層群と呼ばれる未固結の地層からなっており、谷の開析が著しい。

山地は、県のほぼ全周に及び、県北に伊吹山地、県東に鈴鹿山脈、県南に信楽高原、県西に比良山地などが展開している。

県北の伊吹山地は県最高峰の伊吹山(標高1377m)を有する壮年期山地である。

県東の鈴鹿山脈は標高1000-1200m程の山々を連ね、滋賀県側では緩傾斜主体の山容を呈している。なお、伊吹山及び鈴鹿山脈北部の御池岳付近は石灰岩質の山体を特徴とする。

県南一帯は標高400-600m程度の小起伏面からなる信楽高原が分布している。信楽高原は花崗岩質で、風化(マサ化*1)が進んでおり、谷の開析も著しい。

県西では比良山系が湖岸に近接する急傾斜面を形成し、崩壊地形が数多く分布する。

注釈

  1. マサ(真砂)とは、花崗岩自体の風化・変質作用により生じた産物で、いわゆる堆積地質とは異なる。花崗岩系風化残積土とも言う。土としての凝集力や侵食抵抗力が極めて小さく、脆いため、造成しやすいが、反面、土砂災害などの原因となりやすく、注意を要する土質工学上の特殊土。

地盤

山地

各種岩盤類や礫層が基盤を形成し、その上位を粘性土や岩盤類由来の風化土砂(マサ土など)が被覆している。

宅地利用に際しては、造成による地盤状態の改変を考慮し、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した対応が必要である。

丘陵地

山地に比べ起伏量の小さい部分。山麓部に広く分布し、古琵琶湖の水位低下で湖底が陸化した部分にあたるため、未固結の砂礫や粘性土、シルトより構成される。

造成が容易なため、宅地利用が活発な地形であり、自然地盤の状態と人工的な改変部とのバランスに配慮した慎重な対応が必要である。

低地

琵琶湖周囲の沖積低地と河川流域の山間盆地や扇状地、および丘陵地帯の開析谷が該当する。粘性土や砂礫を混在する軟弱地盤となっていることが多く、琵琶湖周辺地域には超軟弱地盤も分布する。

宅地利用に際しては、慎重な対応が必要であり、適切な地盤補強対策の検討が望まれる。

参考文献
「縮尺20万分の1 土地分類図(滋賀県)」(発行:財団法人日本地図センター)
「日本の地質6 近畿地方」(発行:共立出版株式会社)