JIS A 1221:2020 スクリューウエイト貫入試験方法(SWS試験)

SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)は英語ではMethod for screw weight sounding testと呼ばれ。略称としてSWS試験と表記します。

この規格は,2017年に第1版として発行されたISO 22476-10を基とし,我が国で使用されている試験装置及び試験方法によって長年蓄積された地盤データに基づいて建築,土木などの設計体系が成り立っていることを考慮し,技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。この試験装置及び試験方法は元々スウェーデンで開発されたものであるため,我が国では導入元である国名を考慮して旧規格までは"スウェーデン式サウンディング試験方法"という名称としていた。しかし,対応国際規格ではスウェーデンという国名が付けられていないこと,並びに我が国では試験装置及び試験方法が独自に発展し,対応国際規格とは異なるものとなっていることから,規格名称を"スクリューウエイト貫入試験方法"と変更した。
「JIS A 1221:2020 スクリューウエイト貫入試験方法」序文より

SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)の試験手順

  1. ロッド(鉄製の棒)の先端に円錘形をねじった矢尻のようなスクリューポイントを取り付け、それを地面に垂直に突き立てます。
  2. ロッドには、自由に上下させたたり途中で固定もできる受け皿(クランプ/0.05kN)を通し、さらに上端に取っ手(ハンドル)を取り付けておきます。
  3. クランプに円筒形のおもり(0.1kNのおもり2枚と0.25kNのおもり3枚)を1枚ずつ静かに載せていき、1枚載せるたびに、ロッドが沈み込むかどうかを観察し、記録します。

    (注)掛ける荷重は段階的に0.05・0.15・0.25・0.5・0.75・1.00kNとなります。

  4. 全てのおもりを載せるとクランプの重さと合計して1.00kNになりますが、その際、ロッドの沈み込みがなく静止している場合には、ハンドルを回転させ、先端のスリューポイントで土を掘進しながら強制的にロッドを貫入させ、25cm貫入させるのにハンドルを何回転させたかを記録します。

    (注)ロッドの長さは1mなので、貫入させるに従い、おもりの受け皿となるクランプが地面に着いてしまい、それ以上、貫入させることができなくなります。そこで、おもりとハンドルを一旦はずし、新たにロッドを継ぎ足した後、ハンドルを装着し直した上でクランプを所定の高さまで引き上げて、再度3と4の作業を繰り返します。

    (注)ハンドルの回転数は、180度(半回転)を1回とカウントします。すなわち、360度回せば2回となるので、記録は「半回転数」という表記になります。

  5. 規定の深度(後述)までの貫入が記録できた時点で測定を終了し、ロッドを引抜きます。
  6. ロッドを引く抜いた後の直径が3㎝ほどの測定孔を利用し、コンベックスで孔内の水位を計測・記録します。孔が土で目詰まりしている時には「測定孔崩壊のため水位不明」と記録します。

SWS試験の測定範囲

  • 測定終了基準
    1. 深度10mまでで終了します。
    2. 地中に締まった地層が分布し、半回転数が85回に達しても25cmの貫入ができない場合には測定を終了します。
  • 追加測定基準
    1. 各測点間の試験結果に著しい差異が認められた場合には、追加測定を提案します。
    2. 測定の障害となる瓦礫などの人為的地中障害物が混入しているために、満足なデータが採取できない場合も同様に追加実施を提案します。

試験結果の整理とデータ処理

  • 土質の判定
    1. SWS試験で土質を判別するには、十分な地中の土を採取することができません。厳密には、様々な観点から土の成分や性質を分析し、建物を支える地盤として強さを総合評価すべきですが、本試験では、互いに性質が大きく異なる「粘性土」・「砂質土」・「礫質土」に土質を大別します。
    2. 「砂質土」・「礫質土」の場合は、ハンドルを回転させながらロッドを貫入させるとハンドルを介して「シャリシャリ」や「ジャリジャリ」という感触や音が伝わってくることがあり、土質を分類する際の有力な手掛かりとなります。
    3. 「地形図(土地条件図等)」によっても、おおよその土質の判別が可能なので、必ず参照します。
    4. 地表付近で瓦礫混じり(人為的地中障害物)の盛土が施されている場合は、機材が瓦礫層を通過する際の摩擦抵抗によって測定値が大きく記録されるため、そのままの値を採用して土質の判別や地耐力を推定することができません。したがって、瓦礫層を通過する際に観察される「ガリガリ」という感触と音を記録して瓦礫の有無を判別します。

換算N値の算出

  • 地盤の強さを判定するには、その評価手続きがある程度認知されている「N値(エヌチ)」を目安にすることが広く行われています。
  • 「N値」は、もともとビルなどの重量構造物向けの地盤調査として普及しているボーリング・標準貫入試験の測定値ですが、SWS試験においても、本来のN値に準じる「換算N値」を算出すことのできる換算式が提案されています。
  • 現場で記録された実測値を、地盤工学的なデータに変換し、解析の手掛かりとするために、「換算N値」を下記の式により算出します。
  • 換算N値は粘性土用と砂質土用の2式が用意されており、大別した土質分類に基づいてそれぞれの式に実測値を代入することによって得られます。
    【粘性土】の場合、3Wsw + 0.05Nsw
    【砂質土】の場合、2Wsw + 0.067Nsw
    【礫質土】の場合、2Wsw + 0.067Nsw
    Wsw
    荷重(おもりの重さ)
    Nsw
    1m当りの半回転数(半回転数Naを4倍した計算値)
    ハンドルを回転させずにおもりの自重だけで貫入する場合は、この値はゼロとなる
  • 計算例
    1. 粘性土で0.75kNのおもりを載せた段階でロッドが沈んだ(ハンドルは回転していない)
      3 × 0.75kN(Wsw) + 0.05 × {0回(Na) × 4}(Nsw) = 2.25 ≒ 2.3
    2. 砂質土で、1.0kNの重りを載せてもロッドが沈まなかったので、ハンドルを回転させたところ、25cm貫入させるのに5半回転した
      2 × 1.0kN(Wsw) + 0.067 × {5回(Na) × 4}(Nsw) = 3.34 ≒ 3.3