茨城県の地形・地盤

茨城県の地図 茨城県の地形図

地形

茨城県は関東平野北東部に位置し、西縁を鹿島灘(太平洋)に接している。地形は北部山地と中央部から西部域に広がる台地および主に南東部に分布する利根川下流域と同水系に属する霞ヶ浦・北浦を含めた低地域で構成される。

北部山地とその周辺に分布する丘陵は、県総面積のおよそ3割を占めている。

北東部に展開するのは福島県より南延する阿武隈山地の一部で、標高400m程度の高原状をなして標高600-700mの残丘を有する隆起準平原*1の様相を呈している。山容は周縁部の急斜面を除き、概ね穏やかである。

他方、八溝山系に属する北西部の山地は、北部で県最高峰の八溝山(標高1022m)を含む壮年期*2の険しい山容を呈している。山体は久慈川、那珂川等の河川により、いくつかの山塊に分断され、なだらかな老年期*3の山容を経て、南の筑波山(標高877m)までに及んでいる。

台地面は常陸台地に属する那珂、東茨城、鹿島、行方、新治、稲敷の各台地と埼玉県より利根川に沿って延びる猿島台地などが県中央部および西部に広がっている。

低地は主に県南東部に発達し、千葉県境を流れる利根川の下流域と南流して利根川に合流する鬼怒川、小貝川の流域に分布する。同水系には霞ヶ浦や北浦等の湖沼も形成されている。県北地域の低地は那珂川や久慈川等の河川流域と山間を刻む谷などに見られる。

注釈

  1. 山岳形成(造山運動)の終末期に生じる平低な準平原が、全体または部分的に隆起した地形。一般に、隆起面は開析が著しく、残存部が残丘を形成することがある。
  2. 山岳形成の初期にあたり、起伏が大きく、最も険しい山容を呈する。
  3. 山岳形成で壮年期に続いく時期。晩壮年期を迎えてしだいに丸みを帯びた山容が、徐々に標高を低めて丘陵状に姿を変えていく過程をいう。

地盤

山地

各種岩盤類が基盤を形成し、その上位を黒ボク土や森林性有機質土、岩盤風化土砂などが被覆している。

宅地利用に際しては、造成による地盤状態の改変を考慮し、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した慎重な対応が必要である。

丘陵地

山地に比べ起伏量の小さい部分。基盤構成はほぼ山地に準じ、上位を黒ボクやローム土が被覆する。

宅地利用に際しては、造成による地盤状態の改変を考慮し、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した慎重な対応が必要である。

台地

砂礫や泥流堆積物により形成された地形面(洪積台地・段丘面など)の上位に、火山灰質のロームが厚く分布する。ロームの層厚は被覆している下位地形面の形成年代や地質構造によって、大きく異なる。

住宅地盤としては良好と考えられるが、ロームの分布地域では地表付近を黒ボク土(有機質土)が厚く被覆する場合もあるため、注意を要する。

低地

河川流域や開析谷および沿岸部に分布し、いわゆる沖積層を成す。

河川によりもたらされる土砂や浸食二次堆積土を主体とし、砂や砂礫、砂質シルトなどを混在することが多い。

住宅利用を考えた場合、軟弱地盤を形成していることが多いため、基礎形式の選定は特に慎重に行なう必要がある。

参考文献
「縮尺20万分の1 土地分類図付属資料(茨城県)」(発行:財団法人 日本地図センター)
「地質と調査 通巻第51号/1992第1号 連載4-茨城県の地盤」(発行:土木春秋社)
「日本の地質3 関東地方」(発行:共立出版株式会社)