新潟県の地形・地盤

新潟県の地図 新潟県の地形図

地形

新潟県は、日本の弧状列島形成に重要な意味を持つフォッサマグナ*1上にあり、日本有数の地質構造区*2に属する。フォッサマグナ西縁を限る糸魚川―静岡構造線*3が県西部を走り、東縁とされる新発田―小出構造線*4が柏崎東方より県北へと走るため、県域の多くがフォッサマグナに積層した比較的新しい年代の地層上にあると言える。

地形的には、主に山地、丘陵地、低地からなる。

山地は、山形・福島・群馬・長野・富山各県界にまたがる朝日山地、飯豊(いいで)山地、越後山脈および飛騨山脈の山々により形成される。越後山脈はフォッサマグナ形成の隆起地形として険しい山容を呈している。丘陵地は、信濃川中流域に魚沼丘陵・東頸城(ひがしくびき)丘陵などが分布する。

低地は、信濃川・阿賀野川・関川・姫川等の河川流域および河口部に発達しており、中でも信濃川・阿賀野川流域に広がる越後平野は日本最大の面積を有する平野として知られ、軟弱地盤地帯を形成する。越後平野沿岸部には砂堆が発達する。また、山地山麓部や丘陵地では小河川や降雨浸食のために数多くの谷が分布している。

なお、新潟県は地すべり多発地帯としての側面も持っているが、これは主に山麓地や丘陵地が泥岩質の層状構造や褶曲を成すこと、その上位を風化土や崩積土などの二次的な堆積構造が被覆することなどの複合的な要因によると考えられている。

注釈

  1. ラテン語で「大きな溝」の意。日本列島の形成過程で列島を南北に分断するように生じた溝。現在の状態は、古生代・中生代の古い地層に形成された溝が、新生代の新しい堆積層に埋積されている構造であり、地層構成は極めて複雑。(詳細は下記参考WEBを参照下さい。)
  2. 隣接する地域と異なる地質構造または地質発達史をもつことで特徴づけられる地域。
  3. フォッサマグナ西縁。新潟県糸魚川(姫川)より長野県松本・諏訪を経て、静岡へ達する全長250kmに及ぶ大断層。全体に緩やかなS字を描き、列島の地質構造を東北日本と西南日本に分断する。
  4. フォッサマグナ東縁。新潟県村上東方より新発田、五泉、栃尾と越後山脈西縁に沿う断層帯

地盤

山地

各種岩盤類や礫層が基盤を形成し、その上位を黒ボク土(腐植性有機質土)や岩盤類由来の風化土砂が被覆する。また、開析地では岩屑土の二次的堆積が見られる。

宅地地盤としての性状は、形成年代や発達過程(土種、層厚、成層状態)により異なるが、一般に表土や二次堆積土が厚い場合、固結土層が存在する場合、傾斜地を造成する場合にはバランスに配慮した慎重な基礎選定が必要となる。

丘陵地

基盤構成、表層地質とも山地に準じる。

宅地利用に際しては、造成による地盤状態の改変を考慮し、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した慎重な対応が必要である。

低地

河川流域の氾濫原や沿岸河口付近に発達し、大量の土砂が供給されて、軟弱な粘性土や緩い砂が厚く堆積することが多く、長期的な沈下に対する十分な注意を要する。山間や段丘の開析谷では腐植土や有機質土の分布のほか、侵食流出した二次堆積土が被覆する傾向もあ り、地盤状況の把握が必須となる。

住宅地盤を想定した場合、地盤補強等の対策を要することが多い。

参考文献
「地質と調査 通巻78号/1998第4号―連載25 新潟県の地盤―」(発行:株式会社土木春秋社)
「土と基礎 通巻第398号―特集No.62 北陸の土質と基礎―」(発行:社団法人地盤工学会)
「日本の地質4 中部地方I」(発行:共立出版株式会社)
参考WEB
フォッサマグナミュージアム(新潟県糸魚川市) http://www.city.itoigawa.niigata.jp/fmm/index.html