住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.83

相談内容 其の一

地盤調査の結果、軟弱地盤と診断されました。地盤改良は行う予定ですが、南側と東側に隣接する家の土地に差があり、私の敷地の方が40Cm弱低くなっています。西側と北側には差がありません。あくまでも素人の考えですが、湿気や水はけのことを考えると、盛り土をしたほうがいいと思っております。そこで具体的に以下のことに関してご返事をよろしくお願いいたします。

  1. 盛土自身の重さで地盤沈下が起こることや、「盛土+家の重さ」で地盤沈下がすることが心配です。大丈夫でしょうか。
  2. 盛土をした場合、ある程度の期間盛土を寝かすことが必要なのでしょうか。もしも必要な場合、どのくらいの期間寝かす必要があるのでしょうか。
  3. また、地盤改良をきちんとやれば、盛土を寝かす必要はありませんか。もしも寝かす必要がない場合、盛土を先にやってから、地盤改良するのですか。それとも地盤改良をやってから、盛土をするのでしょうか。
  4. メーカーの営業マンは、解体してみないと盛土が必要かどうかはわからないと言っていますが、本当にわからないものなのでしょうか。来週中に最終的な契約をするので、盛土が必要な場合、その盛土用の予算も考慮しなければいけないので心配です。(契約後に解体が始まり、追加費用として予想以上の盛土費用を払うことになるかもしれないので心配です。)盛土の土の種類や立法メートル当たりの単価などの相場などをご存知でしたら教えていただきたいのですが。

回答 其の一

  • 盛土+家の重さで沈下が起きるか?
    沈下するかどうかと言えば、盛土をしなくても沈下の可能性があると考えられる物件のようです。
  • 盛土はどのくらい寝かせるか?
    盛土厚と軟弱層の厚さによって異なります。落ち着くまでの期間を推定するには、地層ごとに採取(ボーリング試験を併用)した土を各種の室内試験にかけ、土の性質を数値化した上で沈下量を算定するとともに、約1ヶ月間の圧密試験による変位を観察することが行われます。しかしこの方法は時間と手間(費用)がかかるので、一般的な建物では行われていません。上記の手続きを踏まえずに大雑把な山勘で申し上げても嘘になります。
  • 地盤改良について
    地盤改良をすれば、盛土が落ち着くかどうかは問題ではなくなります。改良工事は盛土後に行われます。
  • 盛土の必要性の判断
    解体後でなければ判断できないという場合もないわけではないと想像します。
  • 盛土施工費
    盛土施工費は、門外漢なのでよく分かりません。予算は概算であれば、現在の時点でも算定できるのではないでしょうか。

相談内容 其の二

盛土をしてから地盤改良を行うと思うのですが、盛土として好ましい土の種類などはあるのでしょうか。それとも、地盤改良をすれば、土の種類は特にこだわらなくても大丈夫でしょうか。推奨できる土の種類などがありましたら教えていただけますか。

あるハウスメーカーは、家の基礎を支えるように直径数Cmの金属製のパイプを沢山埋めて不同沈下を防ぐような処理をしています(何という名前の工法かは存じませんが)。これは御社が行っている地盤改良とは違うやり方の不同沈下の防止策だと思うのですが、このパイプを埋めて不同沈下を防ぐ方法の良い点、悪い点を教えていただけますか。また、それに合わせて御社の地盤改良の工法と比較した場合、優れている点や劣っている点がありましたら、教えていただけますか。

回答 其の二

  • 盛土材として最適とされるのは山砂です。建材店で販売しています。砂は粘土に比べ転圧締固めの効果が期待できる土だからです。
  • 地盤改良(セメント系固化材による柱状地盤改良、ソイルセメントコラムとも呼ぶ)を施せば土は選びませんが、あえて探せばやはり山砂が良いようです。改良材として使われるセメント系固化材は砂との相性が良いのです。
  • 細径の鋼製パイプを何百本も打設する工法を「Res工法」といいますが、柱状地盤改良と同様に、主に土との摩擦によって建物の荷重を支えようとする考え方で一致しています。
  • Res工法のメリット
    1.施工が簡単。
    2.使用する材料の品質が安定している。
  • Res工法のデメリット
    1.地層が傾斜し、軟弱層の層厚が変化している場合は、設計と施工がマッチしないことが多い。
    2.軟弱地盤にかなりの確率で出てくる瓦礫(建築廃材)混じりの盛土に対して施工が困難。
  • 柱状地盤改良は、設計通りの施工を監理しやすいが、土をきっちりと固化させるための要領や施工後の品質確認が業者によってばらつきがあるのが難点です。地層が傾斜していることに対しては適応力がRes工法よりはあるでしょう。

【 お願い 】

ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。