不同沈下とは

不同沈下とは建物が不揃いに沈下を起こすことを言います。家全体が均等に沈下するのではなく、一方向に斜めに傾くような状態のことです。

不同沈下が起こると、建物に大きなダメージを与えます。その理由は本来、水平・垂直を保っていなければならない、建物の構造を支える部材が、不同沈下によって平行四辺形や台形に歪み、一ヵ所に荷重が集中して、無理が集中するからです。

また不同沈下によって家が傾くと、日常生活にも影響を与えます。窓から雨が吹き込む、ドアやサッシの鍵が掛けられなくなり外出できない。気密性が失われてエアコンの効きが悪くなるなどです。特に、雨仕舞いが悪くなることで、躯体の腐食が進み、建物の寿命が短くなったり、耐震性能が著しく損なわれるのは問題です。さらに、床の傾きによって精神的にストレスがたまったり、眠れなくなることもあります。

不同沈下の症状

木造建築物の不同沈下障害と変形角
段 階 不同沈下障害の状況 変形角の限度
初 期 モルタル外壁・コンクリート犬走りに亀裂が発生する。 1/1000
第1期 つか立て床の不陸を生じ、布基礎・土間コンクリートに亀裂が入る。 3/1000
第2期 壁と柱の間に隙間が生じ、壁やタイルに亀裂が入る。窓・額縁や出入口枠の接合部に隙間が生じ、犬走りやブロック塀など外部構造に被害が生じる。 5/1000
第3期 柱が傾き、建具の開閉が不良となる。床が傾斜して支障を生じる。 10/1000
最 終 柱の傾斜が著しく倒壊の危険がある。床の傾斜もひどく使用困難である。 15/1000

出典:小規模建築物基礎設計の手引き/日本建築学会 1988

不同沈下の発生

不同沈下の発生

不同沈下は軟弱地盤で起こります。

住宅を建てた場合、基礎と地盤の接地面では、上からの建物荷重とそれを下から支えようとする地盤の強さ(地耐力)が、力比べを行ないます。その力比べで、建物荷重に対して、地耐力が弱く、建物を支えきれずに沈下が起きる場合、その地盤は軟弱であると評価されます。

逆にこの力比べで地盤が勝てば、良好な地盤と評価され、建物は健全に何十年も維持されます。
従って、地盤の良し悪しを考慮せずに不用意に建物を建てると、後で大きな問題が発生する可能性があります。

不同沈下が起こりやすい地盤構造は次のとおりです。

  1. 自然に形成された軟弱地盤(もともと何万年も前から軟弱地盤)
    もともとこの地域は地盤が軟弱だという場所は、住宅建築に際してほとんどの場合何らかの基礎補強対策が必要となります。
  2. 人為的に形成された軟弱地盤
    1. 造成、盛土

      精度の悪い造成地

      盛土直後の着工

      擁壁裏の埋め戻しが不十分

    2. 埋め戻し

      埋設物除去後の埋め戻しが不十分
      ガラ・浄化槽・植栽など

    3. 埋設物

      埋設物をそのままに着工
      ガラ・樹木・ごみなど

  3. 近隣の影響による不同沈下

    近隣で行われた盛土に影響されて起こる不同沈下

    近隣で行われた地盤の掘削や地下水の汲み上げに影響されて起こる不同沈下