住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.88

相談内容

ハウスメーカーで建築予定地を地盤調査したところ丘陵地で当初は約5mの盛土、ローム混じり粘性土、換算N値は2~3程度で軟弱地盤ため柱状改良が必要ですと言われました。

ところが、土地造成業者にハウスメーカーが申告したところ、切り土で表面のみ約70cmの盛土であるため標準基礎と判定されました。それを受けてハウスメーカーは「標準基礎にしましょう、切り土であれば、換算N値の5倍、盛土であれば0.7倍の評価になりますので」と変更してきました。

貴社の資料や、その他の本にそのようなものが書いてはありませんでしたが、このような評価をされるのでしょうか。

また、切り土の上に70cmの盛土がありますが、設計段階にある基礎をみますと地下40cmまでしかなく、切り土との間に20から30cmの盛土がありますが、切り土に達するまで基礎を入れなくても大丈夫なのでしょうか。

ハウスメーカーは「心配ないです。」といいますが、他のハウスメーカーで建てた近隣のお宅では、それが問題で家が傾き、メーカーは造成業者と協議した結果、土地保証はなんと二年間(契約時に説明なしとのこと)であるため欠陥を認めず、メーカー側は造成業者に頭があがらないようで補修してしまうと、この造成地に建てている他のメーカーにも影響を与えるとのことで結局欠陥を認めてもらえなかったとのことがあります。

回答

  • 大規模造成地では、あらかじめ造成前の(たとえば荒地であった頃の)「現況測量図」が作成され、その微妙な起伏を反映して区画割り、切土・盛土計画、排水計画などを図化した「造成計画図」をまとめます。造成計画図には区画ごとに元の地盤高と造成後の地盤高の両方が記入してあるので、造成前後で高くなっていれば盛土、低くなっていれば切土だということが一目瞭然で判読できます。
  • すなわち、造成業者の説明通り切土主体なのか、地盤調査の結果の通り盛土であるのかは、造成計画図を見れば分かるはずで、しかもいずれかが間違っていることにもなるわけです。それにしても、当初5mの盛土であると判断した根拠は何だったのでしょうか? 実際に現地で行われた調査結果をくつがえすには、よほどの反証が必要ではないかと考えますが、いかがですか。
  • 仮に切土であるとして、自然に堆積した火山灰ロームが連続して分布するのであれば、N値の約3倍、1万年程度を経過した古い土である洪積粘性土であればN値の3~5倍の地耐力を見込めるという提案が日本住宅公団(現在の都市基盤整備公団)などから出ています。
    ※ 盛土について0.7倍という係数を掛けるのは初耳で、造成業者の内部指針かもしれません。
  • 基礎の下に数十センチの盛土が残ることについては、本当に盛土直下から良好な土が出てくると想定した上で、根切底を念入りに転圧・締固めすれば、沈下防止の効果を期待できます。

【 お願い 】

ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。