住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.91

相談内容 其の一

自宅(軽量鉄骨2階建て)の隣で新築の際、地下室を作るため約4mの掘削をしました。

その際、山留めに当然変形(先方の話では2cm)が生じ、我が家の庭が2~3センチ沈下し、クラックが発生しました。 その範囲は地下室掘削壁面から1.5m程度ですが、我が家はそこからさらに1mも離れておらず、元々畑の傾斜地で地耐力が乏しいため基礎を広くとっていることから基礎の底盤で考えると50cmも離れていません。
当方としては、現時点では特に基礎の沈下らしきものは見られませんが、将来のことを考えて、隣家地下室周辺の裏ごめなどの処置を要求しておりますが、どの様に対処すればよろしいかお教え下さい。

なお、自宅新築時に行ったサウンディング結果では地質はロームで、地耐力は3tf/m弱です。 また、地下室の山留めは古レール+横矢板、切り張り等は入っていません。

回答 其の一

  • 自宅の庭に地割れが生じた原因があり、その原因を取り除くことができれば、今後の心配は解消できるはずですが、原因として考えられるのは、(1)山留め用のレールの根入れ深さが不足していたために、土圧によってもたれてきた、(2)レールを建て込む際に、そのままではレールを圧入できないため、先行して螺旋状のオーガーで土をもみこんで軟らかくする必要があった場合、レールの周囲にわずかでも空隙が生じ、土が横方向に移動した、(3)矢板が上下に密着しておらず、隙間から土が流れ出た、などです。
  • (1)と(3)に関しては、地下室の壁が完成した時点で、土は止まるはずで、これ以上地割れが広がることはないはずです。
  • (2)に関連して、山留めは通例ではそのまま「埋め殺し」にして引抜きをしませんが、土を埋戻す際に十分 に突き固めしてもらうことが大切でしょう。

相談内容 其の二

現時点で確かに変状は止まっており、今のところ基礎の沈下などは生じていません。

周囲の地盤は特につき固めてはいないようですが、今後、圧密や矢板の腐食などによって変状が発生する危険性はないでしょうか。

一般にこの様な民間工事においては変状等のトラブルは発生しないのでしょうか。 また、何か公的な窓口はあるのでしょうか。

回答

  • 民間工事においても施工精度いかんでは、地盤の変位は 起きることがあります。
  • 矢板の腐蝕によって地盤がゆるくなることは考えられます。
    まだ工事が終わっていないのであれば、矢板に腐蝕防止の塗布をおこなったり、転圧締固めを十分に行うよう申し入れをしてはどうでしょうか。
    ※ 矢板の腐蝕によって直接影響を受けるのは、その真上の地盤であり、土圧で土が横方向に流れることはないだろうと思います。
  • 変位が止まっているのであれば、今の状態を立合いか写真で確認しておき、ふたたび地割れのような変位が生じたときのための根拠とするとよいでしょう。
  • 公的な窓口は、現在のところはありませんが、建設省では紛争処理支援センターを設置する作業に入っており、今年中には実現するはずです。

【 お願い 】

ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。