住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.70

相談内容

木造2階建ての家を新築することになり、地盤調査で補強をした方がよいということで、セメント系固結材を水なしで混合攪拌する工法にて直径400mm深さ2mの杭を工事しましたが、工事後見に行ったところ(4日目と8日目の2回)杭の天面に流してある1mm厚さ位のセメントをはがすと下は周りの土と色はほとんど同じで、試しに手でがりがりほじくると穴が掘れて結局10cm位穴が掘れました。改良していない周りも手で掘ってみましたが杭のところと堀り易さは変わりなくむしろ杭の方がサクサクして軟らかいくらいでした。

心配になって施工会社に相談しましたが、「それでいいです、施工には自信があります」とのこと。

私は納得できないと言ったので、施工会社は載荷試験をしましょう、と提案しました。12トンくらいの重機を杭1本の上に載せて調べるとのことです。

  1. 杭部が手で掘れるのは正常なのでしょうか。
    杭というからには、手ではなんともならないくらい硬いのではと思ってしまいます。色もまわりの土と変わらないように見えますし。
  2. 載荷試験で正常(沈下量いくらならどうだ、と決まっているのですか?)という結果なら安心して家を建てればよいのでしょうか?

杭が手で掘れるというのが心配です。
心配で2度見に行きましたが、時間がたって特に硬くなったという印象はありませんでした。

回答

  • 一般に基礎は数十センチ地中にもぐりこんで接地しています。ですから改良体を地上まで仕上げてしまうと、基礎工事の際に土を掘削することができなくなるために、故意に地表の数十センチは元の土をかぶせておくだけにするのです。鉄筋棒などを突き刺して基礎の接地面相当の深さに硬い改良体があるかどうかを確認する必要があります。
  • 当社は湿式(固化材を水と混練する方式)を採用しているので、乾式の地盤改良について熟知しているわけではありませんが、鉄筋コンクリートの硬い基礎に接する部分(改良の頭部)が軟らかくては、基礎が改良体に食い込んでしまいます。つまり、改良体はコンクリートほど硬いわけではありませんが、基礎と改良体それぞれの材料強度が見合っていなくてはいけません。
  • 改良をすれば、多少なりともセメントが混ざって灰色っぽくなるはずです。
  • 改良体の上で平板載荷試験を実施すると、当社では沈下量はほとんど記録されません。大きくても数mm程度のはずです。

【 お願い 】

ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。