住宅地盤相談室に寄せられたご相談内容 No.60

相談内容

私は長野県松本市に家を建築するにあたり、ある分譲地の1区画の売買契約を結びました。引き渡しはまだすんでいません。

引き渡し後すぐに着工するために、スウェーデン式サウンディング試験を住宅メーカーに依頼したところ、補強をしないと当社の保証システムの基準に達しないと言われました。

具体的な数値としては、1.5~1.8mと2.8m付近でN値が2以下(自沈する)という結果がでました。

土地の契約書には、引き渡し時に売り主は買い主に対して所有権を妨げる何等の負担のない完全な引き渡しをしなければならない、という項目があったので、不動産屋が地盤改良をするか、その費用を負担してくれと要求しました。

しかし、不動産屋はそのメーカーの保証システム(20年保証をうたっている)では問題かもしれないが、家が建たないほどではないので、負担することはできない、との回答でした。

そこで、お聞きしたいのですが、N値が2以下の土地に、地質改良なしに家を建てることは普通なのでしょうか?
そのような土地を宅地として売りつけられるのは、妥当なことなのでしょうか?
契約違反だと訴訟したとしたら、私に勝ち目はあるでしょうか?

回答

  • 換算N値2であっても、層厚や土質によっては地盤改良をせずに、基礎仕様の変更だけで対応できる地盤も現実にはあります。
  • 地盤の良否を判断するには、換算N値ばかりでなく地形条件、周囲の起伏、推定土質、測点の位置関係などをすべて考慮しなくてはなりません。
    本相談はせめて地盤調査報告書を参照しないと具体的な返答はできないように思います。
  • 宅地化される以前、現場は雑木林や傾斜地であった可能性がありますが、そのような元の状態を測量した図面に、計画段階の区画割をあてはめた図面を「造成計画図」といいます。造成計画図を入手することができれば、どの区画がどの程度の盛土地盤であるかを判読できます。
  • 基礎や地盤の補強工事相当額を土地の売価から減額すべきではないかという考えは、数年来私が各方面で主張してきたことですが、現行の宅地造成等規制法などで不良宅地の瑕疵を立件することは困難なような気がします。(法的な裏付けを伴った見解ではありませんので詳しくは弁護士に相談してください。)
  • 告訴した場合には、造成の「欠陥または瑕疵」を原告側で立証する責任があります。今後、詳細な地盤調査を実施して「地耐力」が不足していることが判明したとしても、建物が建築不可能という結論にはならないと思います。

    ※ スウェーデン式サウンディング試験では、裁判の証拠として不十分な点があり、かえって反論の材料を提供しかねないので、ボーリング・標準貫入試験に土質サンプリングや土質試験を併用するなどの準備が必要です。

【 お願い 】

ご相談の事案に対する回答は、限られた情報によって推測される所見であることをご承知ください。
したがって、この回答を直接的に交渉や請求の手段とすることはご遠慮くださるようお願い申し上げます。